源氏物語第10帖「賢木」。
源氏は藤壺への憧れがますます募っているのですが、
源氏を寄せ付けない藤壺の冷淡さが、
恨めしくてならないのです。
藤壺のほうは桐壺院が亡くなり、
息子である東宮の後見は源氏しかいないと、
頼りにしたいと思っているのですが、
源氏がまだ藤壺をあきらめていないので、
怖くてならないのです。
もし源氏との秘密が、
右大臣や弘徽殿皇太后などに知られたら、
東宮はどうなってしまうのか、
とこわくてならないのです。
なので寄せ付けないようにしていたのに、
どうやって来たのか、
藤壺のそばまで忍び込んできたのです。
源氏からとても苦しい恋心を、
訴え続けられた藤壺は、
胸が苦しくなり、
息をすることもできず、
今にも死にそうなのです。
女房の王命婦や弁は夢中で介抱をしています。
源氏は藤壺が死にそうなのに、
どうしたらよいのかもわからず、
ただおろおろするばかりで、
夜が明けたのに、
部屋から出ていくことも忘れています。
病気に驚き、
他の女房たちもしきりに出入りするようになったので、
王命婦が源氏を、
塗籠の中に押しこんでしまいました。
塗籠(ぬりごめ)とは、
周囲を厚く壁で塗りこめた部屋のことで、
現代の納戸や押入れのような役割をしたそうです。
ただ事ではない藤壺の様子に、
兄の兵部卿宮や中宮大夫がかけつけました。
兵部卿宮(ひょうぶきょうのみや)とは、
この物語に登場する本名のわからない、
架空の皇子の便宜上の名前のことです。
この帖では藤壺の兄であり若紫の父にあたります。
中宮大夫(ちゅうぐうのだいぶ)とは、
中宮に関する事務を司る役所の長官のことです。
次回に続きます。
2017年12月01日
源氏物語について その二十七
posted by コポ at 21:58| Comment(0)
| 源氏物語
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