2017年12月05日

源氏物語について その二十八

源氏物語第10帖「賢木」。

夕方になり藤壺の容体が落ち着き、
休んでいると塗籠の中から、
こっそりと出てきた源氏が、
藤壺の背後にまわりました。

藤壺はまだ胸が苦しく、
「このまま死んでしまうのかしら」
とため息をついています。
その横顔がなまめかしく、
弱弱しく沈んでいる様子が、
いたわしくてならず、
源氏はたまらなくなり、
藤壺の裾をそっと引っ張りました。
その拍子に源氏の匂いがさっとたちこめ、
藤壺は思いがけないことに、
そのまま突っ伏しでしまったのです。
着物を脱ぎすててでも、
逃げようとしたのですが、
長い黒髪が着物と一緒に、
源氏の手に握られているのです。
源氏は興奮して気が狂ったようになり、
泣きながら自分の恋を訴えるのですが、
藤壺は、

「本当に具合が悪いので今夜は帰ってほしい。
もう何も言わないで」

と相手にしません。

また夜が明け切ってしまい、

「このままでは大変なことになります。
どうか早く引き取ってください」

と王命婦と弁がお願いしました。

源氏はこんな恥ずかしい目にあいながらも、
まだ生きているのかと藤壺に思われるのもつらいので、

「このまま死んじゃおうかなとも思うのですが、
死んでも死にきれないでしょう」

などと藤壺に言い、二条の邸に戻りました。

源氏は藤壺の冷たさを恨めしく思い、
今度は手紙もぷっつり出さなくなり、
宮中にも東宮御所にも参内しなくなったのです。

次回に続きます。
posted by コポ at 21:13| Comment(0) | 源氏物語
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