源氏物語第12帖「須磨」。
この当時の須磨の様子は、
現在の立派な街とはかけ離れていて、
うらぶれた漁村だったそうです。
源氏はなによりも、
紫上(成長した若紫の姫君)を、
都に残していくことが気がかりでした。
紫上は実父の兵部卿宮とも対面し、
源氏の妻として、
幸福に暮らしていることも知らせていましたが、
紫上の継母は意地悪で、
紫上が幸福になったことに、
腹を立てていました。
今回の源氏の不幸を知り、
「ほら、ごらん。あの女は大切な、
人と別れる不幸な運命をもって生まれてきたのです。
源氏の君に可愛がられて、
いい気になっていたのも束の間じゃないか」、
と悪口を言っているのです。
紫上の実父も気が小さく、
右大臣側からにらまれるのがこわいので、
源氏とは親しくしていません。
紫上はそんな実父や、
継母が恥ずかしく、
自分の親は育ててくれた源氏しかいないと思っているのです。
その源氏が分かれて遠くにいってしまうのが、
悲しくてなりません。
「どんな苦労でもしますから、
一緒に連れて行ってください」、
と紫上は泣いて頼みました。
源氏も心細くなる、
紫上の身の上が心配で、
連れて行ってしまおうかとも思いましたが、
「罪人が女を連れて行ったとなると、
物笑いの種になってしまいます」、
と言って聞かせました。
そして、[もし私がこの京に戻ることができないときは、
どんなみすぼらしい家だろうと、
あなたを呼び寄せて一緒にくらすからね」、
と約束をして紫上を慰めました。
次回に続きます。
2019年07月06日
源氏物語について その四十一
posted by コポ at 18:06| Comment(0)
| 日記
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